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読点は減らすべきか増やすべきか|イケダハヤト『武器としての書く技術』の有意性を検証する

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Kindleで53%まで読んだ途中経過での感想です。僕自身もフリーライター&ブロガーとして、わりと感覚よりも理屈を重視して書いているほうですが、大半で内容に賛同できました。

一部、意見が異なる部分も存在しました。ピックアップして、僕の意見を書きます。基本的には明確な正誤が存在する要素ではなく、考え方やスタンスの問題になるかとは思いますが、みなさんはどちら派ですか?

武器としての書く技術

イケダ ハヤト 中経出版 2013-06-19
売り上げランキング : 19850
by ヨメレバ

 

第1章は「できていなければまずい」基礎的内容

第1章は「文章が残念な人の10の特徴」と題して、基本的な文章術について言及しています。

ここは本当に根本的なところなので、もしできていないと感じる箇所があったら、すぐにでも修正できるように努力すべきです。書き手としてはできていて当然、という要素です。

 

1. 何が言いたいのかわからない

伝えたい内容を一つに絞り、整理して伝える。基本中の基本です。

 

2. 文章が長い 一文が長い

田端信太郎さんが『MEDIA MAKERS』で明快に論じているとおり、WEBはノンリニアの世界です。読むのに時間がかかるコンテンツは場違いであり、それだけで敬遠されます。

つまり、現在のメディア環境(特にPCやスマートフォンを見ているユーザー向けに)でリニアなコンテンツを用意するというのは、牛丼チェーン風のハイチェアのカウンター席にいるお客さんに、3時間もかかるフルコースのフレンチを給仕するようなものなのです。

田端信太郎『MEDIA MAKERS』 第5章「コンテンツ」の軸でメディアを読み解く――源氏物語からニコ動までコンテンツを分類する3次元マトリックス

【参考記事】
ブログを自己満足で終わらせないために意識するべき7つのポイント|田端信太郎『MEDIA MAKERS』より

また、句点の少ない長文は、意味がとりにくいデメリットがあります。WEBでは、速読、あるいは流し読みが基本となるので、避けるべきです。

 

3. 同じ語尾が続く

可読性にはあまり影響がないので、個人的にはあまり重視していません。が、意図してそろえているのか、無意識にそうなってしまっているのかの違いは大きいと思います。

 

4. 抽象的すぎる

5. 私的すぎる

抽象的すぎる、よりも、概念的すぎる、のほうがしっくりくるかもしれません。私的すぎればそれもまた理解しにくいので、誰もがすんなり理解できるレベルまで抽象化して語る(書く)のがベストです。

 

6. 「〜だと思います」「〜な気がします」が多すぎる

説得力のない文章に価値を感じる人は少ない、というシンプルなお話。

 

7. 多方面に気をつかいすぎて何が言いたいかわからない

8. まじめで優等生

このあたりは「さすがイケダハヤト」という感じです。本音をストレートにぶつけなければ、他人には届かない。

無意識に気を使ってしまうケースが圧倒的なので、個人レベルで気づいて修正するのはなかなか大変です。

 

9. 最後まで読まないと結論がわからない

僕はよく、検索エンジンで調べものをするときを想像してください、と言います。無数に表示される検索結果の中から、気になるタイトルの記事を見つけたら、とりあえずクリックして、内容をザッと眺めますよね。いきなり頭から熟読を始めるのではなく、「お、この記事は問題を解決してくれるかもしれない」と思ってはじめて、詳細に読み始めます。

タイトル、書き出し、小見出しで、瞬時に記事の内容が知れるようにしておくのが、読み手にとって最も利便性が高いのです。

【関連記事】
一目瞭然。読まれるブログ記事の書き方

 

10. そもそも内容がつまらない

誰もが発信するような、ありきたりな題材は、マスメディアに任せておけばいいじゃない。ニッチな題材を扱ってこそ、個人メディアが活きると僕も思います。

 

第2章はイケダハヤト流・WEB文章術

第2章では、第1章の基礎的な内容をふまえて、より私的な文書術へと入っていきます。大きなポイントは、編集者視点・マーケター視点が必須である、という事実です。

旧来的には書き手と編集者は別だったわけですが、大半が個人での活動となるブログでは、書き手が「読み手にとって」を真剣に考える必要があります。

見出し、読みやすくする工夫、タイトルの付け方、バズワードの分析など、月商50万円のプロブロガー・イケダハヤトならではのノウハウが詰め込まれています。

 

読点は減らすべきか? 増やすべきか?

第2章の6番目に「リズムのよい文章を意識する」という項目が出てきます。句読点と改行の使い方について言及しています。

読点「、」の使い方には、僕は真っ向反対の意見を持っているので、ピックアップしたいと思います。

リズムが悪い文章は、読みにくい文章です。文章を書くときにはぜひ「リズム」を意識するようにしましょう。

(中略)

句読点が文章のリズムを作る、というのはあなたもご存じでしょう。
たとえば次の文章は、明らかにリズムが悪いです。

(中略)

走り出したいのに障害物が散乱して、うまく走り出すことができない……そんなフラストレーションを感じる文章です。

(中略)

「、」を外してみて誤読しない範囲であれば、なるべく「、」を減らしていくようにしましょう。どうしても「、」が多くなるようなら、文を分けてしまえばいいのです。

イケダハヤト『武器としての書く技術』 第2章「凡人の文章を最強の文章に変える10の魔法」より

「リズムが悪い文章は、読みにくい文章」なのかどうか? という問題提起をしたいと思います。僕自身は、WEBにおいては、意味がとりにくい文章、あるいは誤読を誘発する文章こそ、読みにくい文章だと考えています。

先ほども触れましたが、WEB環境においては、速読、あるいは流し読みが主流になります。そこで重視されるのは、文章のリズムではなく、瞬時に文意を理解できる可読性です。

流し読みの状況下で可読性を高めるためには、リズムに関係なく、意味の区切りで読点「、」を入れるのが最適です。

文章のリズムを考えるときは、実際にその文章を「頭のなか」で音読してみるのがよいでしょう(口に出す必要はありません)。

ともあるのですが、これも「速読、あるいは流し読みでやらなければ、読み手の状況をシュミレートできない」というのが僕の意見です。

 

小説新人賞の選考でも同様

実はこれは、過去に小説の新人賞を狙っていたときに、若桜木虔(わかさき けん)メール通信添削講座で知って、「なるほど」とえらく納得した内容です。

新人賞の選考は、大量の応募作をふるい落とすため、猛速読で行われます。200〜300枚を30分、というレベルだそうです。とくに(純文学でなく)エンターテイメント小説においては、美文がどうのこうのよりも、下読みさんにストレスを感じさせず、誤読をさせないことが何よりも重要になるというわけです。

言うまでもなくこれは、WEB環境で文章を読む状況に酷似しています。速読より流し読み、という点で、よりたちが悪いとも言えるでしょう。WEBでの執筆にも新人賞応募作の考え方が流用できる、と考えて、私はリズムではなく、意味の区切りで読点「、」を入れる意識を徹底しています。

※ちなみに、若桜木虔メール通信添削講座での指導では、「これでもか!」というくらい読点「、」を多用します。WEBの文章は新人賞応募作ではないので、いくらなんでもやり過ぎだろうと思い、個人的にカスタマイズしています。

みなさんは、WEBの文章を読むときに、リズムの悪さを意識するケースがありますか?(あるいは、意識はしないけれども、体験の質に影響すると思いますか?)それとも、リズムなんか無関係に消費していますか?

ぜひ意見を聞かせてください。

武器としての書く技術

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※現時点で単行本の58%OFF(666円)のKindle版がおすすめです


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